先日スパイラルホールで行われたborderに参加する機会に恵まれました。
borderとは…
Rhizomatiks Researchが企画制作する、ダンスカンパニーELEVENPLAYとのダンスインスタレーション。
観客はまず、ヘッドセット型のバーチャルリアリティのディスプレイを装着し、パーソナルモビリティ「WHILL」に乗り込みます。このWHILLは無線で制御されており、観客自身はさわって動かすことができず、10台のWHILLは自動生成によるコンピュータープログラムによって、ステージ上を個別の速さや動きでバラバラに移動します。
ダンスが始まると、観客の装着したディスプレイの視界には、高精度のデータ空間で描写されたバーチャルのステージ空間が広がり、装着したカメラ映像による実写風景が、データ空間に重ね合わされるAR(オーグメンテッドリアリティ:拡張現実)によって、各自が動き回りながらそれぞれの視点からステージを鑑賞することになります。ステージ上ではELEVENPLAYの複数のダンサーがWHILLと空間を共有しながらダンスを展開します。ARの中で、リアルタイムのダンサーの存在とバーチャルなデータ上のダンサーの動きがシームレスにトランジションする様子が目の前に繰り広げられていき、WHILLに乗った観客は、リアルとバーチャルの区別がつかなくなる迷宮的な空間表現と身体表現の世界に酔いしれることになるでしょう。時折、ダンサーが観客に接触する仕草をおこなうことで、観客はリアルな身体存在に引き戻されることになります。
途中、リアルかバーチャルかわからなくなるタイミングがあるくらい、よくできてた。
視覚的な演出にフィジカルな体験も加わることで、エンターテイメント的にとてもリッチなコンテンツになる。
VRって、Oculusとヘッドホンで視覚と聴覚だけをジャックする形で体験させることが多いけど、今回のborderでは車イス型のモビリティに座ってベルトで固定され、さらに胴体は布で覆われている…という状態。
そうすることで全身の自由が奪われるんだけど、それにより”体験の質はむしろ向上する”という関係性がおもしろかった。
でもそのくらいリアルだったからこそ、ディティール(時々起こる、リアルとバーチャルなオブジェクトとの干渉)に妙に意識がいってしまったところはあるかも。
あと、WHILLに座ってる間だけじゃなくて、その前後も含めてなるべく一貫した世界観でゲストを迎えてくれたら圧倒的な体験コンテンツになるのにな…と思った。
そういえばもう随分前のことだけど、諏訪さんのゲリラレストランはその辺のことがすごく徹底されていた気がする。
ART|諏訪綾子展 ゲリラレストラン「LOST TONGUES」開催 | Web Magazine OPENERS
と、最後にそんなことを言いつつも、border、めっちゃ楽しかったです。
さらなる進化が楽しみ。
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